見た目だけじゃない。乱れた歯並びが、歯列矯正を必要とする理由

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乱れた歯並びが、歯列矯正を必要とする理由

歯並びの悪さは見た目だけではなく、その多くは噛み合わせの異常を伴います。

乱れた歯並びと噛み合わせの異常を治すためには歯列矯正が必要です。歯列矯正を必要とする歯並びについて詳しく説明します。

歯並びの悪さによる影響とは

歯並びの悪さは、見た目の問題はもちろんですが、お口の中の健康や全身の健康にも大きく影響します。

歯並びが悪いことで起きやすい口腔内のトラブルは、次のとおりです。

・虫歯や歯周病になりやすい

乱れた歯並びはブラッシングが難しく、うまく歯ブラシの毛先が届きません。このため汚れが残りやすく、やがてプラークとなって、虫歯や歯周病を引き起こす原因になります。

特にデコボコした歯並びの場合、重なった歯と歯の間の汚れを取ることは大変難しく、デンタルフロスを使用しても、短期間で歯石が溜まってしまうため、虫歯菌や歯周病菌の温床になりやすいことが特徴です。

・口呼吸になりやすい

唇が閉じにくい歯並びの場合、つい口が開いた状態になってしまいます。そのため鼻ではなく、口で呼吸をする口呼吸になってしまいます。

本来呼吸は鼻で行いますが、口が閉じにくいと、常に口呼吸を行うことから様々な悪影響が出てしまいます。口が開いていると口の中が乾燥し、唾液が少なくなるため、細菌が繁殖しやすくなります。

そのため虫歯や歯周病になりやすい、口臭が強くなるといった症状が起きやすくなります。また口の中の問題だけでなく、口呼吸を行うことで細菌が直接気管支へ入り込むため、風邪をひきやすくなる、アレルギー症状が出るなど、口呼吸は全身の健康面にも影響が出ると言われています。

・咀嚼しにくいため、消化不良が起きやすい

噛み合わせが悪いと、奥歯でしっかり噛むことができません。食べ物が口の中へ入り、奥歯でしっかりと咀嚼し、小さくすり潰されて唾液と混ざり合うことで胃へ送られて消化を助けます。

しかし噛み合わせが悪く、奥歯での咀嚼が不十分な場合、食べ物が唾液と混ざりにくいため胃腸に負担がかかり、消化不良が起きやすくなります。

正しい噛み合わせは奥歯でしっかりと噛むことができますが、歯並びの乱れによる噛み合わせの異常は、消化機能にも大きく影響します。

噛み合わせの異常は、全身の健康にも影響する

噛み合わせの影響(肩こり)

正しい噛み合わせは、体の機能を整える非常に大切な役割があります。

頭痛や肩凝りといった不定愁訴は、病院で異常なしと診断された場合、噛み合わせの異常が関わっている可能性が高いでしょう。

また悪い噛み合わせは顎の関節に負担がかかり、顎関節症を引き起こす可能性があります。そして噛み合わせの悪さにより、頭のバランスが崩れて骨盤など様々な部位に歪みが生じて姿勢が悪くなります。

姿勢の悪さは健康にも悪影響が及ぶなど、噛み合わせは全身のバランスにとても大きく関わっています。

歯列矯正を必要とする代表的な歯並びとは

ひとことで歯並びが悪いと言っても、歯並びの悪さには色々な種類があります。

・上顎前突(出っ歯)

上顎前突(出っ歯)

一般的に「出っ歯」と呼ばれる歯並びで、上の前歯または上顎全体が前へ出ている歯並びです。

幼少時の長期間にわたる指しゃぶりや、舌で前歯を押す悪癖などが原因として考えられます。出っ歯は前歯で目立つこともあり、審美的に問題があるため、コンプレックスを感じる方が多いようです。

この歯並びは歯列矯正で改善できることがほとんどです。

・下顎前突(受け口)

不正咬合(下顎前突)

下の歯が、上の歯よりも出ている歯並びで、一般的に「受け口」「反対咬合」「しゃくれ」などと呼ばれています。口を閉じたとき、通常は上の前歯が下の前歯を少し覆いますが、この下顎前突は、下顎が出ていることで下の前歯が上の前歯を覆います。

原因として、遺伝的要素や顎の小ささ、悪癖などがあります。乳歯の受け口は、永久歯への生え変わりとともに自然と治ることがありますが、永久歯になっても治らない場合は、早急に歯科医院へ相談し、矯正治療を始める必要があります。

そのままにしておくと、下顎がどんどん成長し、顎の骨が前へ突き出てしまうため治療にも時間がかかります。なお症例により、矯正治療だけでなく外科治療が必要な場合もあります。

・開咬(オープンバイト)

不正咬合(開咬)

奥歯で噛んだ時、前歯に隙間ができる歯並びです。まず見た目が最も気になると言う方がほとんどでしょう。前歯の隙間のために空気が漏れ、発音が不明瞭になりがちです。

そして開咬の機能面で大きく問題となることは、噛み合わせの異常です。オープンバイトは前歯で食べ物を噛み切れないため、奥歯に負担がかかりやすく、詰め物が取れやすいといったトラブルも出やすい嚙み合わせです。

噛むときに使う咀嚼筋と呼ばれる筋肉にかかる負担が大きく、顎関節症になりやすいとも言われています。また全体の噛み合わせの調整も大変難しい、やっかいな噛み合わせと言えます。

・叢生(乱食い歯)

不正咬合(叢生)

歯がデコボコに並んでいる、いわゆる「乱食い歯」と呼ばれる歯並びです。デコボコした歯並びのためにブラッシングが不十分になり、虫歯や歯周病を引き起こしやすい特徴があります。

歯列矯正の種類

歯列矯正には様々な種類があり、患者さんの口腔内やライフスタイルに応じた矯正治療を行い、歯並びと噛み合わせを整えていきます。

・床矯正(しょうきょうせい)

床矯正

(床矯正の装置・イメージ写真です)

主に乳歯から永久歯に生え変わる時期に行う矯正方法です。顎の大きさに対し、生えてくる永久歯のスペースが足らない場合に行われる治療法です。

取り外し式の装置を口の中に1日20時間以上装着し、顎の骨を拡大していきます。永久歯が全て生え揃い、歯列が整ったあとはリテーナーと呼ばれる保定装置(後戻り防止)を装着し、綺麗に整った歯並びをキープします。

永久歯が生え揃った後も引き続き矯正治療が必要な場合、ブラケット矯正を行って歯列を整えます。

・ブラケット+ワイヤー治療

ブラケット

最も一般的な矯正治療です。歯の表面にブラケットと呼ばれる小さなボタンを取り付け、そこにワイヤーを通し、少しずつ歯を動かしていきます。

このブラケット+ワイヤー治療は、ほとんどの症例に対応します。デメリットは、審美面です。

金属を使ったメタルブラケットとワイヤーの場合、口を開けたときにとても目立ってしまいます。このため審美性を考慮し、最近ではセラミックやプラスチックを使った目立ちにくい矯正治療を取り扱う歯科医院も増えています。

なおセラミックなど透明タイプの装置は、金属のものと比べて費用が高くなります。また必要に応じて、抜歯を行って歯列を整えていきます。

・リンガル矯正

リンガル矯正とは、歯の裏側(舌側)にブラケットとワイヤーを装着して歯を動かす矯正方法です。一般的なブラケット治療と異なり、歯の裏側に装置を着けることで、周りから矯正治療を行っていることが分かりにくいことが特徴です。

またこの矯正方法は、上顎前突(出っ歯)の方にとても適しています。ただし費用は、歯の表側に装置を付ける通常の矯正方法に比べて高くなります。

・マウスピース矯正

マウスピース矯正

インビザラインやアソアライナーなど、透明で目立たないマウスピース矯正が人気を集めています。マウスピースを作製し、1日一定時間以上装着することで、少しずつ歯を動かして理想の歯並びを作り上げます。

取り外し式のため、食事も気にせず楽しむことができます。ただし症例により、マウスピースが難しい場合があります。

なお、気になる部分のみ矯正治療を行う部分矯正も人気がありますが、最も大切な噛み合わせがきちんと整う必要があります。

歯列だけでなく、噛み合わせも整えることが歯列矯正の目的です。噛み合わせがきちんと取れており、正しく噛み合っているかかどうか、口腔内全体の機能を整えてくれる歯科医院選びが大切です。

見た目だけでなく、歯と体の健康を導くための矯正治療

歯列矯正の目的は、歯並びを綺麗に整えて見た目を美しくすること、そして噛み合わせをきちんと整えることです。

歯並びを美しくすることで見た目のコンプレックスを解消し、生き生きとした前向きな気持ちで毎日を過ごすことができることは精神的にもとても良いことです。

そして歯並びの乱れや噛み合わせの異常を治療することで口腔内のトラブルを防ぎ、歯と体の健康を導く大切な役目を持ちます。

このように、乱れた歯並びを治すことは、見た目だけでなく機能面においても大きな意味合いを持ちます。
歯並びや噛み合わせについて悩みをお持ちの方は、早めに歯科医院へ相談するようにして下さい。

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麻美 とうこ

歯科助手
略歴・3件の歯科医院にて歯科助手、受付業務を行っている。 歯に関する知識を日々習得中
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