歯並びの変化や消化不良など、歯を失った事で起こるトラブルは多々存在します。
「噛む」という動作は、将来の寝たきり防止にもなる大切なものであり、失って初めてその大切さに気づく人は少なくありません。
今回は、歯を失うことで起こるリスクと歯を残すためのポイントを詳しくまとめました。
是非参考にしてみてください。
1. 歯を失うと起こる4つの変化
永久歯の数は、親知らずを含めると32本であり、虫歯や歯周病によるトラブル、また歯科矯正をする上で抜歯をおこない本数が少なくなるケースも存在します。
歯科矯正であれば、最終的に適切な歯並びへと変化するため、口腔機能にはそれほど問題はありませんが、虫歯や歯周病などで起こる歯の損失は、口腔内だけでなく全身のトラブルに繋がります。
詳しくは、「口内炎の原因とは・3つの予防対策と治療法」も参考にしてください。
1-1. 歯並びが崩れる
歯は、支え合い正常な位置を保っている事から、隣接する存在を失うと横からの圧がかからなくなり、徐々にその方向に傾きはじめます。
1本が傾くと、それに合わせ他の歯も動くため、全体の歯並びに変化が起こります。
歯並びの崩れは、噛み合わせの不具合を引き起こし、それによって咀嚼機能(そしゃくきのう)の低下や、唇や頬の粘膜を巻き込みやすくなる事で口内炎の増加も考えられます。
特に、咀嚼機能の低下は消化不良にも繋がるので、注意が必要です。
1-2. 頭痛や肩こり、背中の痛みを引き起こす
歯並びが崩れることで、咀嚼時に使われる筋肉の疲労度にも変化が起こります。
左右どちらかに偏った噛み方をした場合も同じで、筋肉の使い方が異なると繋がる別の筋肉や骨にも影響が表れます。
特に、頭や首、肩、背中は、顎骨との距離が近いため、コリや痛みなどの症状がでやすいといえます。
1-3. 脳の機能低下を引き起こす可能性がある
「噛む」という動作は、歯を支える周りの組織に良い刺激を与えると同時に、唾液の分泌や胃や腸の働きを促すために脳へ伝達する役割をもっています。
大きな入れ歯を使用している人に比べて、自分の歯で噛める人の方が唾液の分泌量も多く、脳の働きや体の動きも活発な傾向にあることから、噛む事は一番の寝たきり予防ともいわれています。
1-4. 発音や顔の見た目が変わる
歯を失うと、空気の流れや唇や頬が内側へと入り込む事で、発音に変化がうまれます。
特に、「さ行」は空気の流れに左右されるため、うまく発音できなくなります。
また、見た目的な変化があらわれやすく、噛めなくなるとその分使う筋肉量も減るので、顔全体の皮膚が垂れやすくなり、老けて見られる原因となります。
2. 歯を残すための3つのポイント
80歳まで20本の歯を残すことを目標とした「8020運動」を達成した人は年々増え続けており、そのほとんどが仕事やプライベートでの旅行など、年齢を感じさせないほど活発な日々を過ごしています。
歯の大切さを十分理解している方ばかりで、中には32本全ての歯が残っている人もいらっしゃるほどです。
1本でも多くの歯を残すために必要な事とは、一体何なのでしょうか?
2-1. 丁寧なお手入れ
歯科医院に行く事で虫歯は治療できますが、自宅でおこなうお手入れ方法に問題があると、いくら治療をおこなっても、新たな虫歯の発生や再発が起こります。
1本ずつ丁寧に磨く事は、それなりの時間が必要となるため、実行している人はそれほど多くはありません。
しかし、その成果が表れるのは数年先の事であり、気づいたら虫歯や歯周病になり後悔する人が多いのが現状です。
歯に付着した食べ物のカスが、虫歯や歯周病の原因となる歯垢に変わるまでには、24時間かかります。
歯垢は歯ブラシの毛先が当たることで簡単に除去することが可能ですが、歯垢を放置してそれが歯石になると、歯磨きでは落とすことができなくなります。
約4時間~8時間で徐々に歯石へと変化するため、その前にしっかりと除去しなくてはなりません。
詳しくは、「歯科衛生士がやっている虫歯、歯周病にならない歯磨きの方法」を参考にしてください。
2-2. 歯ごたえのある食事
柔らかい=美味しいというイメージが強くなりつつある現代ですが、どんなに美味しくても歯そのものには良い影響を与えません。
根菜類や豆など、歯ごたえのある食事は、歯を支える周囲の組織を強くするほか、脳の働きを良くします。
口周りや顔全体の筋肉をしっかりと機能させるので、顔のたるみ防止にも繋がります。
食物繊維が豊富な食材は、噛む事で歯の表面に付着した汚れを落とす役割をもっているため、積極的に取るよう心がけましょう。
2-3. 歯科医院での定期的なチェック
どんなに丁寧にお手入れを行っていても、目には見えない歯の内部や顎骨でトラブルが起こっている場合もあります。
歯科医院でおこなう定期チェックでは、お口全体のクリーニングをはじめ、歯周病の検査やレントゲン撮影をし、歯の内部や顎骨の状態を確認します。
定期的におこなう事で、トラブルの早期発見、早期治療が可能となり、歯の損失防止に繋がります。
まとめ
歯を失うリスクはけして軽いものではなく、再び生えない永久歯だからこそ慎重に管理しなくてはなりません。
いつまでも元気でいたい!という方は、是非今回ご紹介した歯を残すためのポイントを参考にしてみてください。
入れ歯やインプラントに頼らない人生を目指しましょう。
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